コラム#2

"How to Power Brass"

〜ダイナミックなサウンドで、魅せるPlayerに〜

SAX & BRASS magazine

コラム掲載分を抜粋してまとめてみました。全文はバックナンバーでご覧下さい!

第2回=ホーン・セクションのトレーニング

(第3号:'07.5/28発売号より抜粋)

<<Horn Spectrum参加へ向けてのトレーニング>>

 さて第2回目の今回は、ウン十年前にさかのぼり、私のPowerBrassの原点、
Horn Spectrum(*)加入の時のカルチャーショック話をお伝え致しましょう。

……そんな中、トランペットの新田氏と兼崎(順一)氏のプレイは凄かった。私もいち早く一線で使いものになるよう、彼らの指示でのトレーニング開始となりました。
 まず用意させられたのが「ラジカセ」と「メトロノーム」。連日深夜0時に都内某音楽事務所会議室に集合、彼らがその日レコーディングしたとおぼしき譜面を出され、そのフレーズを特訓。見た目は簡単なフレーズなのに、目の前に置いたラジカセで録音した演奏を再生してみると、“え?”っと思うほど彼らの音は迫力とスピードが違う。それまで結構イケていると自負していた自分が真っ白になりました。何が違うのか?

 連日録ったカセットを家で聴き直し、問題点を探り自主練習に励みます。そこで気づいたのですが、それまでの私のプレイは、いわゆるトロンボーンという楽器に対する既成概念の範中だけでのプレイだったのです。第一にその概念を取り払う事からスタートしました。 特に16ビートにおけるグルーヴ感の基本は、ドラム、ベース、ギターのアタックにしっかり合わせる事。つまり最低限「ブラスにあるまじき"強烈なアタックとキレ"」が必要となるのです。つまり基本スタンスはどのフレーズも「fff」。当然それに見合ったブレス・コントロールが必要となってきます。タンギングも、丁寧さはもとより、さらにパワーを生み出すための方法に根本から変革しました。イメージとしては「tu.tu.tu」から「BA.BA.BA.」でしょうか。

 第二に同時にやっていたのが今で言う「ボイス・パーカッション」。リズム体感トレーニングですね。1人がバスドラムとスネアを担当し、他の人間がこれに合わせて適当なパーカッションのリズムで絡む。口頭だけで行うので、これがいい具合にタンギングのトレーニングになり、同時にセクションのビート感も揃ってきます。口で歌えないフレーズは、楽器で表現できないって思いませんか?

(*)Horn Spectrumは、新田一郎(Tp)、兼崎順一(Tp)、中村哲(Sax)
で結成された、日本初の少数精鋭パワーセクションブラス。
その独特なホーンアレンジを独自で行うホーンセクションは他に類を見ず、
ソリッドで歯切れの良いブラスサウンドは、フュージョン・ニューミュージック全盛期、
数限りなく様々なアルバムにその名を連ねていた。